SourceGearが開始したAbiSourceプロジェクトの一部である。このプロジェクトの目的はクロスプラットフォーム(複数のOSで動く)、 オープンソースのオフィスアプリケーション開発である。

AbiWordソースコードがリリースされた後、SourceGearと独立した開発コミュニティがその開発と品質改善を継続している。最初のバージョン は2002年4月にリリースされた。

AbiWordは、最初からクロスプラットフォーム用に開発され、Unix, Windows, MacOS X, BeOS, QNX Neutrino, AmigaOSなどのOSで、100ヶ国以上の言語で使える。
Linux/Ubuntuでは、GNOME Officeに含まれている。

MS Wordに加えて、OpenDocument形式のファイルも読み書きできる。基本的にWordとおなじだが、クロスプラットフォーム対応、他オフィスス イート互換、MathML(数式)サポート、Wikipediaプラグインなどの特徴がある。
AbiWord固有の文書フォーマットはXMLであるが、RTF(Rich Text Format), MA Word, OpenOffice.org Writer, HTML. LaTexファイル形式もサポートしている。

※子供たちのための100ドルパソコン(OLPC)の標準ワープロが AbiWord)



かつて多くのワープロが世に出て市場を席巻したが、数年後には別のワープロに駆逐されていった。それは世界でも日本国内でも同じ運命だった。

私個人の体験で言えば、過去一番使いやすく生産性が高かった日本語ワープロはOasysだった。ターンキーの専用ワープロにはじまり、ノートブックそして ポケットコンピュータで使えるようになった。出張時の必需品で、電話回線さえあれば世界のどこからでもメールのやりとりやチャットもできた。

Windows95が市場を席巻し始めたころにワープロの環境が激変した。マイクロソフトWordが、パソコンとOSにバンドルされて市場を独占したから である。一太郎も花子も書院もオアシスも駆逐されていった。

Wordは機能が豊富であったが、あれほど使いにくいワープロはなかった。オアシスと比較すると生産性は半分から3分の1に低下した。数年我慢したが使う のをやめるようになった。仕事上は、Word文書を扱う必要があるので使うこともあるが、バージョンはWord2000のまま使い続けている。Excel もPowerpointも似たような状況である。

日本でのワープロ事情の変化は、世界でもおなじだった。Wordperfectという素晴らしいワープロがあったがいつのまにかWordの影に隠れてし まった。機能的にも使いやすさの点でも優れていても市場で負けてしまうことがよくあるものだ。テクニカルパブリッシングの世界でもInterleafや FrameMakerという素晴らしいソフトがあったがいつのまにか消えていった。

AbiWordの話のつもりが、思い出話になってしまった。はっきりいってWordに対する恨みがあるからだ。思うように文書が作れずバグでせっかく書い た文書が消えたり、HTMLに変換したら10倍もの大きさになって無駄なだけでなく、あとでの変更がたいへん難しい・・・ストレスが溜まって悩まされたか らだ。

なぜ他のワープロが市場から消えていったのか?一番の理由は、Word(というよりOffice)が、Windowsにバンドルされて事実上無料で使えた からだ。パソコンが普及すると、パソコンですべてのオフィス作業をしたいと誰しも思う。ワープロだけ別の専用マシンで使うということはなくなる。

もう一つの理由は、多くのワープロがプラットフォーム(特定のコンピュータとOS)に依存していることだ。WindowsパソコンでWordが優位にたつ のは自明の理であり、それが市場を独占し、他のプラットフォームでのワープロ市場も必然的に縮小したということだ。

ワープロに限らず先進的な技術が、UnixプラットフォームやAppleでも数多く開発され製品化もされたが、Windowsに潰されていった。そのこと に切歯扼腕したビジネスパーソンやエンジニアは数知れない。市場から消えても、彼らの負けず魂は消えない。挑戦し続けるのがプロというものだ。

市場が多様化し、インターネットが普及し、消費者の飽くなき欲求がある限り、その要求に応えようとする新しい技術と製品の開発は続く。それを支えてきたの がオープンソースプロジェクトの仕組みであり、良いものを作りたいという開発者たちの本能である。

そうした土壌が触媒となって数多くのオープンソースソフトウェアが生まれてきた。20世期末から21世紀初頭の大きな流れである。

マイクロソフトOfficeへの挑戦で有名なのは、SunがはじめたOpenOfficeだが、いまやクラウドコンピューティングに向けてGoogleや Zoho、eDesk Onlineが使われ、クライアント市場でもKingsoftがOffice互換のアプリケーションを無償で提供している。もちろん、伝統的な WordperfectやLotus Symphony, StarSuite、日本のJUST Suiteも健在である。Unix系では、OpenOffice、KOffice、GNOME Officeが標準的なオフィススイートである。
オ フィススイートの比較

Windowsパソコンしか知らない人は、WordやExcelしか知らない、使えないと いう状況に追いやられているということだ。

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